Talk about 1983 その2

Alfred Beach Sandal北里彰久と、王舟による1983ロング・インタビュー。6日連続公開の第2夜は、ツインボーカルの1人関信洋にフォーカスしつつ、長引いたレコーディングの背景、さらには聞き手2人のボーカル録音の裏話まで。


王舟 じゃあ、新間君がなんか構想があって、なんかやりたいなって言って、くすぶってる人で関君がいて。

新間 いや、まあでも前々から一緒にやろうやろうとは言ってて。結局それが頓挫したまま6~7年くらい経ったの。飲み会でやろうって言っても、よっぽど硬い意志がない限り絶対やらないじゃん。

王舟 関君はその間、何もやってないの?なんか家でたまに宅録してるみたいなことを言ってたじゃん。家行ったとき。

関 言ってましたね。

王舟 そういうのを発表したり、ライブやったりとかっていうのは?

関 あのね、キオトっていうバンドやってたんだけど。

王舟 あ、キオトっていうバンドやってたの?

新間 そう、ずっとスタジオに入ってたんだけど。

関 トキオの弟版っていう。

一同 (笑)

関 そういうコンセプトで。

王舟 なるほど、それはライブやってたの?

関 ライブは一回もやったことない。

新間 二年半くらいスタジオ入ってたよね。

関 マジでやったやつを録音して、共有して、「いいね」って。

一同 (笑)

王舟 単純にみんなで音楽やるのを楽しみたいっていう感じで。

関 暇だったんでしょうね。

北里 聴いてみたいけどね、それは。

関 車で聴きましたよね。

新間 聴いたっけ?おれ全然覚えてない。

関 あのボサノヴァみたいな。まあ、ジャンクですよ。

一同 (笑)

王舟 じゃあ、リリースとかはあんま興味ない?

関 あんまり興味なかったですね。

王舟 じゃあ、1983は何でそうなったかっていうのは?それは新間くんが?

関 リーダーがやっぱり。

王舟 アルバム作ろうみたいな。

新間 アルバム作ろうっていうか、最初はほんとデモを作ろうと思ってたんだけど。デモのつもりがアルバムに発展して、それですごく長引いた。

王舟 デモ作るにしては、なんかさ。馬場ちゃんとかとレコーディングしてるって聞いてたから。割とちゃんと録音してんのかなって。

新間 うん、録音はちゃんとしたんだよ。

王舟 (1983の)レコーディングはどのくらい?けっこう長くやったの?

新間 ベーシックは2日で録り終わって、そっからが長かった。

王舟 だって、1年半くらいやってたもんね。

関 そうですね、2年近く。

王舟 何にそんな?

新間 いや、歌録りとか。

北里 おれ、リハ、Zot使ってるけど、一頃よくいたもん。

新間 2014年のお正月ぐらいじゃないかな。

北里 でも、そのときはプリプロじゃない?

新間 いや、あのときはもう録ってた。

北里 その後も会ったよ。新間君がヴォーカルをレコーディングするから、本チャンの。それのための練習のための練習のやつみたいなときあったよ。

関 すごい回数録ってましたよね。

北里 だから、本チャンのレコーディングのための練習をやるってどういうことなんんだろうなっていう。ちゃんと馬場ちゃんもいたしさ。

王舟 それはプリプロじゃない?

新間 まあ、すごい苦労したっていうことですよ。

北里 苦労してるんだなとは思ったけど。

新間 歌は無理だなと思った。

王舟 なんで?

新間 むずいよね。

関 (王舟、北里を指して)上手いから。

新間 言ったら3人(王舟、北里、関)とも歌上手いでしょ。

王舟 いや、でもおれは歌録りすごい大変だったから。なんか全然普段聞いてる声と違くちゃったりとか。違和感があって。何回歌っても、初めて自分の声をマイクで拾ったの聞いたみたいな感じになるから難しい。そういう感じの難しさ?

北里 いや、初めて歌った人の難しさじゃない?今まで歌おうと思ったことなかったわけだから。

新間 うん、これはちょっとなぁ…みたいなのがずっとあって。

王舟 で、何回も録った。

新間 そう、何回も。

北里 バンド始めた時点で、関君は歌うとしても、自分も歌うっていうのはあったんだ。

新間 自分が歌うというより、自分が曲を作るっていうのはあった。

北里 でも歌うわけじゃん、結果的に。

新間 結果的にね。

王舟 あ、曲作ったひとが歌ってるの?

新間 うん、でも最近はちょこちょこ共作とかも増えてるけど基本はそう。

王舟 あ、最近はもう新しいの作ってるの?

新間 うん、作ってる。

北里 作ったひとが歌う方式は最初からそうだったの?

関 あまり決めず、自然に。

新間 何も考えてなかったな、そこは。君らだって初めて歌って録ったときはあったでしょう。その時は苦労しなかったの?

北里 おれ、はじめて声を録音したときって叫んでるから、絶叫。

新間 いや、歌ものになったときの。「One Day Calypso」の前のオレンジ色のやつとか。

北里 まあ、その前にごちゃごちゃ試してる時間があるから。何を考えてたのかな。でも、別にそんな深いこと考えてなかったよ。

王舟 ラジカセで録ってるのだと大丈夫なんだよ。

北里 そうそう、そういう感じ。

王舟 ちゃんと録るってなるときれいすぎて気持ち悪い。

北里 自分を突きつけられる感じだよね。お前、これだよっていう。

王舟 そうだね、おれもそうだよ、そう。

新間 君らは宅録とかも割とやってたじゃん。おれ、宅録も何もやってなかったから。

王舟 ひとりだと録れるんだけど、人に録ってもらったヴォーカル、ほとんどボツにするからね。ヴォーカル録りだかで何回もスタジオ行ったり。

北里 「Wang」のやつって結局誰が録ってるの?

王舟 おれが録ってる。1曲だけ大城さんが録ったやつ使ってるけど、他は全部、七針でトクマルさんからマイク借りて普通のオーディオインターフェースで。

新間 大滝詠一も歌ってる所は絶対誰にも見せなかったらしいよ。ブルーシートかぶして。

北里 ディアンジェロもそうだよ。スタジオの中にテント立てて。

王舟 おれ、録ってる作業も全部自分でやりたい。自分のタイミングで一回止めて、自分のタイミングでやり始めるとか。そういう感覚がないと。

新間 そうすれば上手くいくのかな、いや、そういうことじゃないか(笑)

北里 人柄によると思うな。おれ、他人に録音ボタン押されるのなれちゃったから。