Talk about 1983 その3

Alfred Beach Sandal北里彰久と、王舟による1983ロング・インタビュー。第3夜は好きな食べ物の話から!?


王舟 じゃあ、何について訊こうかな。(北里に)訊きたいことある?

北里 別に人柄は知ってるからな。

王舟 好きな食べ物とか。

北里 知りたいか?

王舟 いや、そういうことでいいんだよ。知らない人が知りたいのはそういうことだから。ビーサンが読むインタビューじゃないから。

一同 (笑)

新間 ビーサンが興味あるのって錬金術とかそういうやつでしょ。

北里 いや、分かってるけど、それにしても好きな食べ物って。

王舟 好きな食べ物は?

関 厚揚げ。

新間 じゃがいも。

王舟 他のメンバーは?そういう話しないの?

北里 他のメンバーと遊んだりとかはするの?

新間 ライブ前とかはけっこう遊んだりするよ。その町を一緒に歩いたり。

関 遊んでないじゃん、それ。

新間 プライベートでは遊ばないよ。

北里 まあ、バンド的には大事かもね。

王舟 でも言ったら、バンドは遊びが入ってるからやるって感じでしょ。仕事っていうにはまだ。

新間 うん、まだ固まりきってもないよ。

王舟 学生のときとかは遊んだりするかもしれないけど、歳取ると音楽は趣味の延長だから、それが遊びだから結局メンバーの人選は気が合うか合わないかじゃない?

新間 まあ、最終的に悩んだのは気が合うか合わないかかな。あんまり気を使いたくないから。

王舟 でも、よく気が合う人で上手い人がいっぱいいたよね(笑)20歳前半とかさ、おれの周りには全然いなくて。

北里 単純にふるいにかけられてるよ、この歳まで来たらある程度。

王舟 嫌な感じで音楽やってる人はいない。

北里 うん、もう止めてるから。ノリだけはいいみたいな人はもう音楽関係ないところにいるからさ。
北里 あのさ、「日常を祝う」っておれすごい疑問なんだけど。日常を祝祭してるの?

新間 いや、別に祝ってないですよ。

北里 でしょ、それは音楽聴いたら俺はそう思うんだけど。

新間 まあでも人に言われて気づくって部分もあるしね。

王舟 曲ってもとからあるやつを関君が持っていったりしてるの?宅録してたやつとかを。

関 進行とかは大体決まってるものを作って持っていきますよ。

王舟 アルバムに関してはどうなの?

新間 アルバムに関しては2年前に録ったやつだから。どうだったかなぁ。

北里 歌詞は歌う人が書いてるの?

関 歌詞はみんなどうやって書いてるんでしょうね。書けないんですよ、それが一番苦労して。

新間 歌入れまで歌詞ができなくて馬場ちゃんに訊いたりして。考えて出ないものはしょうがない。締切ギリギリまで推敲したら、ある程度は他人にアイデア出してもらって、それで全体がよくなるならOKっていう感じかな。メロディは一瞬で出来るんだけど、歌詞は本当に書けない。

北里 歌詞は精神的な作業だから。

新間 自分に関しては、歌うべき精神的なところがあんまり無い気もしてる。

王舟 でも意外と、今まで関わった人の立場になって考えたら、間を取った歌詞が出来上がるっていうことがある。おれ、今まで出してる歌詞、全部そうだから。

新間 自分の場合は商業的な文章を書くことが仕事だからね。コピーライターやってる時点で作詞家としては死んでるでしょう。ポエトリーというか、詩の一番核の部分を殺してやってることだから。職能的に研ぎ澄まされていけばいくほどダメだよね。

北里 それを研ぎ澄ませたらそれはそれでいいんじゃない?

新間 でも自分は全然好きじゃないし、許せない。人を動かしたいがためにこういう風に文章を書きますっていうのを訓練されてるからさ。

王舟 でも、みんなそんな風に動かないから面白いんじゃないの?

新間 職能部分を音楽には持ち込みたくないから。

王舟 じゃあ仕事をやめたら

新間 一回足を踏み込んだ時点で厳しいと思う。

王舟 何かもったいないと思うけどね。聴いた人に対しての効果を考えながら発揮できるっていうのは能力でしょ。

新間 そうやって作られているものを、自分は好きになれないっていうのが一番大きい。今回のターゲットは○○でみたいな。広告と一緒だよ。

王舟 でも、広告がクライアントいなかったら成り立たないっていうのはそういうもんだけど、同じキャッチコピーでもクライアントを違う会社に置き換えたら全然響き方違うでしょ?

北里 完全に意味わかんない状態になることあるよ。音楽の場合、特に言葉だけが独立してるわけじゃないから。リズムとかメロディとかサウンドとか全てがある状態だから、言葉だけの意味だけじゃ考えられない。