Talk about 1983 その4

Alfred Beach Sandal北里彰久と、王舟による1983ロング・インタビュー。第4夜は、1983メンバーの音楽的ルーツを掘り下げていきます。


王舟 関君は他のメンバーと比べて、おれ寄りっていうかプレイヤー寄りじゃないとして、普段どうやって音楽聴いてるの?

関 リズムがかっこいいとかこれはコードがいいとか分析的な..?

北里 それは1983聴いてても分かるけど、ちゃんと音楽と向き合うのが好きな人がやってる音楽だっていうのは聴いてて思った。

新間 30歳過ぎてからやり始めて、アーティストもくそもないからさ。

王舟 それを全員が思ってないのがバンドの良さだから。

関 バンドの中では、マエストロが拓海さんと谷口君。三太君はどっちかっていうと歌心の人。

王舟 三太君は全部聴いたわけじゃないから分からないけど、出てくるやつは全部歌心ある。

北里 つい最近三太君にスタジオにきてもらったことあったんだけど、それもめちゃくちゃいい加減に吹いてもらったらすごく良くて(笑)
ローランド・カークみたいに吹いてって、ローランド・カークはトランペット吹いてないんだけどイメージして吹いてもらったやつがめちゃくちゃ良くて。
こういうの得意な人なんだって。

王舟 大阪Hopkenでやったときも地下室で一時間自主練して本番で音出なかったっていう(笑)で、終わってからの打ち上げでめちゃいいのやる。(笑)

北里 適当にやるのが良い人なんだ。

新間 でも、ビッグバンドのガチガチの人だし、山野音楽祭っていうジャズの甲子園みたいなのがあって、そこで全国2位取った時のコンマスだからね。

王舟 ホーンアレンジは三太君がやってるの?

新間 いや、拓海君と半々くらい。

王舟 さっきの質問に戻りますけど、関君の家におれが一回泊まったときに、レコード棚を見た感じだと、おれと近い感じがして。聴き方がもうちょっとオーソドックスというか。
音楽が鑑賞とプレイが別々だとしたら、割とプレイと切り離れた鑑賞の仕方なのかなって。

関 ミクロっぽい聴き方はあまりしないですね。ひとつのジャンルをっていうより、あれもこれもっていう。

王舟 ヴォーカリストはそれがいいと思う。特にポップのヴォーカリストは人間の生活感を体現しないと。

北里 わかるよ、歌う人はやっぱりそういう人がなるし。職人的な感じで歌うってつまんないじゃん。
北里 関君、全然喋ってないよ。

王舟 関君のポジション的にはそういう感じでしょ。

関 すごいんですよ、うちのバンド。みんなお喋りなんで。(笑)一応バランスを取って喋らないようにしてるんだけど本当は喋りたいんです。

王舟 メンバーも関君の実態を分かってない。おれの関君のイメージとしては、音楽やってる感じじゃなくて、飲みの席で場をなごませてくれる、イケメンだし、気も遣えるし、お洒落だし、正社員だし、ちゃんとしてる。
これまで、どういう感じで音楽と向き合ってたのかなっていう。
高校の時とかは?

関 高校のときはメロコアですよ、それとレディオヘッドと並行して聴いてるっていう。普通ですよ。

王舟 関君って何年生まれなの?

関 1984年です。

北里 84年~85年だとメロコアが出かかったし。

王舟 じゃあ、高校の時はメロコアやってたと。
それで、何でボサノヴァっぽいエッセンスを取り入れるようになったの?
新間君から聞いた話で、「関は大学の時からブレてない」って。
だから、早いうちから今みたいなギタースタイルでやってたわけでしょ?

関 いや、大学入ってからですね。この人(新間)に会って。あとは柴崎さん(P-VINE)とか花澤さん(ENERGISH GOLF)とか、あとチャンタケさんとかもいたんですけど、柴崎さんが異様に音楽詳しいじゃないですか。彼を中心としたこう、、、

新間 柴崎が聴いてる音楽が流行るんだよ。ほんと10人位のコミュニティなんだけど。それがカントリーロックとかのド渋のやつで。渋すぎて誰も分かんないみたいな。

関 免疫がないから。当時、高校のときとかAutechreとか聴いてるじゃないですか。(笑)それがかっこいいって思って東京にきたら、古いロックがかっこいいみたいな風潮に流されて。でも、聴いていくと良さが分かってきて。そこからですね。ずっと1年くらい古いのばっかり聴いてる時期が周りもみんなあって。

王舟 それを聞くと柴崎君が森は生きているを担当しているのは必然だね。他がやってたらああはなってないよね。谷口君は元から知ってたの?

新間 いや、谷口だけ後から知った。1983を組んである程度面子固まったときに、1985年生まれだけいないねってことになって、鍵盤×1985年生まれでFacebookで色々探してたら谷口が出てきて「あ、こいつ85年だ!」って思って。

関 80年代で(メンバー編成を)階段にしてるの。

新間 それで、Gellers企画(13.04.05国立リバプール)で声掛けて。ブログとか見てても音楽遍歴とか自分の好きなバンドとか結構被ってたから1週間後のライブに誘って。

王舟 谷口君は森は生きているやる前は何もやってなかったの?

新間 いや、その前はポストロックのバンドやってた。ドラム叩いてたの。だから変拍子とかでドラム叩ける。森は生きているは全員ドラム叩ける。

王舟 言ったら1983もそういうことでしょ?メンバーそれぞれ。

関 アカデミックな人は半分くらい。譜面読めて書けて、スケール分る人は。おれは読めないけど。

新間 おれは半々くらい。三太と谷口と拓海君がクラシックとジャズをちゃんと通ってる。

王舟 そういう人たちとやってて、こうなんだ、みたいな発見とかってあるの?

関 理解が早い。全部、1曲通す前に出来たっていう感じ。

新間 3分間の曲なのに2分で出来てる。

北里 確かにジャズの人はほんと早いよね。うちもメンバーがジャズの人だから。やっぱりパッと見た時に設計図が書ける。道筋が見えるみたいなところがある。

新間 コードを見た時のイメージ喚起力が凄すぎて。そこはけっこう助かる部分がある。